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さな

Author:さな
何もわからないままブログを作ってしまいました。
ここには読んだ本の中からお勧めのものを選んで、感想を書いていきますが、あくまでも感想と紹介で、書評と言えるほどのものではありません。
少しでも好みが似ている方の参考になったらうれしいです。
リンクはフリーで、トラックバックも歓迎します。
ただし、本と関係のないところからのトラックバックは削除させていただく可能性があります。
ご意見はこちらへどうぞ。
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阪急電車 有川浩

bk1

「一つだけ条件を飲んだら別れてあげるわ。でもこれを飲まなかったら婚約不履行で訴える」
 五年も付き合った挙句、何ヶ月も結婚準備までしたのだ。彼の懐具合は把握している。出来婚したうえ婚約不履行で争って慰謝料を払うほどの余裕はない。
 ごくりと唾を飲んで待ち受ける二人に翔子は宣告した。
「結婚式には必ず呼んで」


片道15分、始点から終点まで8駅という阪急今津線を舞台にした本です。
いろんな人たちのいろんな人生が、ほんの少しだけ触れ合っては離れていく物語でした。

宝塚駅    征志、運命の女性に会う
宝塚南口駅 翔子、呪いの願をかける
逆瀬川駅   時江、犬を飼おうと思う
小林駅    翔子、小林駅で途中下車
仁川駅    ミサ、別れの覚悟をする
甲東園駅   悦子、年上の彼の話を披露
門戸厄神駅 圭一、初めての恋の予感
西宮北口駅 そして、電車は折り返す

で、折り返した電車はこの逆順をたどって再び宝塚駅を目指すわけです。
折り返しは半年後。
半年の間にみんな少しずつ変わっていました。
出会った二人は恋人になり、しょーもない男と付き合っていたミサは男と別れ、復讐を終えた翔子は新しい道を歩き出し。
いいですね、こういうの。

自分的に一番面白かったのが、冒頭に上げた翔子の物語。
結婚直前に男を寝取られた翔子の怒りに、読んでいて同調してしまいました。
新郎も新婦も最低。
結婚式にはタブーとされる純白のドレスで美しく装って新郎新婦の前に現れる翔子は、なかなかかっこよかったです。
一つ一つは本当に短い話ですが、いろんな人生が垣間見えて、面白かったです。

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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

有川浩 | 15:24:44 | Trackback(1)
ロミオの災難 来楽零

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もうすぐ劇が終わる。あとは墓地でロミオとジュリエットがすれ違いの死を遂げればお終いだ。
何が起ころうと、死んだ人の気持ちがどんなふうに暴走して、誰が何をやらかしてしまおうと、絶対に無事に閉幕までこぎ着けてやる。
生きている人間をなめるな。


今回は前作『哀しみキメラ』とはまったく作風が違います。
暗くないし、「ちょっと怖い物語」と書いてあったけど、ホラー要素もほとんどありませんでした。
ただ、口絵の一枚目はちょっとホラーですね。
ジャンルというと、不思議系学園モノでしょうか。
1年生ばかり五人しかいない演劇部員たちは、五人の役者でできるロミオとジュリエットの台本に配役を書き込んだときから、知らない誰かの恋心に操られて翻弄されます。
キャラクターがそれぞれ魅力的です。
好きな女子がいるのに、なぜか同性の主人公にときめいてしまう美形モテ男西園寺と、いきなり友人に抱きしめられてしまって戸惑う主人公のやりとりも楽しかった。
ヒロインも魅力的な美少女で、今まで誰かに恋をしたことがなくて、初めての恋だとうれしそうに迫りますが、主人公はその幸運に乗っかることはしません。
大好きな人に迫られて、「元の状態に戻ってからもう一度言ってくれ」と言うのは、切ないでしょうね。いい人だ。

公演では別人の嫉妬心に煽られて、それぞれがいろんな妨害行為をやらかしますが、同時にそれぞれがその妨害と戦います。
個人的には、布を巻きつけただけの姿で、堂々と舞台に出ていく西園寺が大好きです。
格好はともかく、男前でした。

面白かったです。
きれいに終わっているから続編はないんでしょうか。
キャラクターも好きだし、もっと読みたいなと思う物語でした。

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

来楽零 | 00:19:48 | Trackback(2)
モーフィアスの教室 三上延

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「あなたは今夜も同じ夢を見るかもしれないわ。もし、どこかに扉があっても絶対に開けないで。目が覚めたら私の携帯にかけて。何時でも構わない。今言ったことを絶対に守って。分かった? 分かったわよね?」

悪夢に悩まされて睡眠不足の直人は、学校の保健室で眠る。
なぜか幼なじみで口の悪い綾乃が側にいるときだけは、悪夢に悩まされずに眠れるのだ。
綾乃は成績優秀だが、クラスにあまり馴染もうとせず、保健室で本を読んでいることが多い。
しかし綾乃が側にいるのに、直人は悪夢を見てしまう。
その夢はいつもと違う。教室の中で赤い目を持つ化け物に、クラスメイトが喰われる夢。
しかもその夢を、クラスメイトみんなが共有しているらしい・・・。

いくつもの秘密を次第に解き明かすミステリー仕立てになっています。
ツンデレの綾乃もただの幼なじみではなく、死んだ父親にも秘密があり、直人自身にも・・・。
シリーズの第一作ということで、この設定ならいろいろな化け物で続けられそう。

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

三上延 | 23:09:55 | Trackback(0)
つきこい 山科千晶

bk1

「月待ち伝説っていう、恋人たちの話よ。十年以上も前の話だけど、この交差点で死に別れた恋人をずっと待っている女の人がいたんだって……」

渋谷のハチ公前交差点で、満月のたびに誰かを待っている女性、イズミと、彼女に恋をした大学生の新谷の淡いラブストーリーの「つきこい 続・月下少年」と、イズミとその待ち人であるトキの出会いと別れの話「月下少年 -catch him under the moon」の二つの物語が収録されています。
文章がきれいで、人間の描き方もリアルでよかったです。
一つ目の話に比べて、二つ目の話が突然ファンタジックなテイストになったことには最初面食らいましたが、話の中心はそのファンタジーな部分ではなく、違う価値観の中で生きてきた少年と少女の恋を描いた、切なくきれいな物語でした。
父親を待っている少女が、初めて会った少年に月待ち伝説の話をするプロローグと、中エピローグのようなものをはさんだ構成もよいです。
ライトノベルらしい派手さはほとんどありませんが、しっとりした雰囲気のいい本でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

山科千晶 | 22:43:31 | Trackback(0)
真夜中の五分前 本多孝好

amazon 真夜中の五分前 side-B (2)


「いいに決まってるでしょ。私のことをゆかりって呼んでも許すわよ。それで私を横においてくれるのなら、喜んでゆかりって呼ばれるわよ。私の持ってる服なんて全部捨てちゃって、ゆかりちゃんと同じ服着るわよ」
「そこまで覚悟ができてるなら、話は簡単だ」
「どう簡単なのよ」
「ゆかりさんを殺せばいい」


sideA、sideBの二冊組になっています。
帯にあった「時計は全部、五分遅らせることにしているの」と言う死んだ恋人は、もっと登場するのかと思っていたけれど、実際にはほとんど話にはかかわりませんでした。
メインの登場人物は、やや虚無的な主人公、主人公がプールで出会う魅力的な女性かすみ、かすみの双子の妹ゆかり、ゆかりの婚約者尾崎の四人です。
親にも見分けがつかず、子供の頃はしょっちゅう入れ替わっているうちに、自分たちでさえどちらがどちらかわからなくなってしまったという、顔も体も性格もそっくりなかすみとゆかりの双子姉妹は、非常に仲が良く、お互いの生活をすべて把握しあっています。
ただ一つ、かすみにはゆかりに言えない秘密を抱えていて・・・。

side-Bの裏表紙に書かれていた「衝撃のエンディング」の言葉に期待しすぎたせいか、エンディングにはあんまり衝撃がなかったけれど、面白かったです。
ただ、ラスト辺りの双子設定に関しては、不自然なものを感じました。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、「それはないんじゃない?」という感じでした。


bk1 真夜中の五分前 side-A
bk1 真夜中の五分前 side-B


テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

本多孝好 | 16:22:58 | Trackback(0)
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち3 壁井ユカコ

bk1

「俺は従兄弟だから無関係じゃないもん。有生のことは伯父さんからも頼まれてるし。でもキズナには関係ない。キズナは有生のなんでもないんだよ」

恋と殺人事件な感じの第三巻。
着ぐるみの父親と暮らすゴスロリ小学生、華乃子と、そのクラスメイトの加地くんの話がかわいらしくて好きです。猫の着ぐるみのお父さんに惚れてしまった加地くんのお母さんも、いい感じのドジッ子キャラでした。
彼らの噛み合わない会話も楽しく、家事能力に長けたツンデレ美少女華乃子と、それに振り回される加地くんの関係がとてもかわいいです。
今後も彼らの話がまた出てくるといいなと期待しています。

キズナと浅井と由起の微妙な三角関係もじわりじわりと進行しています。
止まったエレベーターの中から脱出を試みるために女の子を踏み台にするという、ヒーローにあるまじき浅井の性格も遺憾なく発揮されていました。
ちょっとしたホラー&ミステリイとのことでしたが、殺人事件の犯人探しの話というよりは、浅井のためにがんばるキズナの物語、といった感じでした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

壁井ユカコ | 09:00:37 | Trackback(0)
光の帝国 恩田陸

bk1

「僕、今枝先生好きだったよ。好きでもさよならしなくちゃいけないんだね」
 記実子は光紀の顔を見た。
「そうね。これからもそういうことがいっぱいあると思うよ」
「お姉ちゃんはさみしくないの?」
「さみしいけど、好きな人があちこちにいっぱいいると思えば楽しいじゃないの」



不思議な能力を持つ「常野」の人々。彼らは普通の社会の中に混ざり、自分の能力をひっそりと活かしながら必死に生きている。
様々な能力を持つ人たちが一生懸命生きているせつない日常を描いた短編連作です。
それぞれの物語の主人公は違いますが、物語同士はリンクしていて、その根っこは戦時中の物語である「光の帝国」につながっています。
超常的な力を持つ人たちの話だけれど、決して派手な物語ではなく、ただ人と違う力を持っているための悲しさや苦労や、ささやかな喜びなどを描いています。
私は、膨大な書物を暗記する力を持つ一家の物語である「大きな引き出し」と、人を〝裏返す〟力を持ち、同時に〝裏返される〟危険にさらされ続けている母子の物語である「オセロ・ゲーム」が好きでした。
どちらも、自分の境遇をつらく思っていたり疑問を感じていたりしながらも、自分が進むべき道を見据える物語であり、少年少女の成長物語でもありました。


テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

恩田陸 | 00:37:51 | Trackback(0)

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